アルツハイマー病の治療薬 ― 2005/11/28 20:34
健忘症にかかっているオヤジの筆者にとってアルツハイマー病に関する情報には敏感。というわけではないが、アルツハイマー病の治療薬の開発に期待が持てそうなニュースに接してうれしくなった。
アルツハイマー病の治療薬の開発でホットな話題が、βアミロイド(ベータアミロイド)の細胞内での生成を抑える研究。
大脳皮質にβアミロイドが蓄積して神経細胞の機能が失われるのが直接の原因とみられていることから、そのβアミロイドの蓄積をなんとか抑えてやろうというのが狙いだ。
日本薬学会のメディシナルケミストリーシンポジウム(11月28~30日、大阪厚生年金会館)で木曽良明・京都薬科大教授と東京大、理化学研究所のグループが発表した化合物もその一つ。マウスの実験でベータアミロイドの生成が約半分に抑えられたということで、アルツハイマー病治療薬の開発に期待がもたれている。
もともとベータアミロイドというのはポリペプチドと呼ばれる種類の物質で、アミノ酸が40個から42個結合している。
細胞膜を突き刺すようにくっついているアミロイド前駆体タンパク質(APP、アミノ酸数が約700個)の一部分。アミロイド前駆体タンパク質にβセクレターゼ(BACE1)、γセクレターゼの2つのタンパク質分解酵素が働いてタンパク質が切断されて細胞内に蓄積するようになるらしい。
そこでアミロイド前駆体タンパク質に作用するタンパク質分解酵素の働きを抑えることでアルツハイマ病を治療できないかと研究が進められている。
2つのタンパク質分解酵素のうち対象となるのはβセクレターゼ。βセクレターゼの機能が失われたマウスは問題なさそうだし、神経細胞の分化にかかわるγセクレターゼの働きをブロックするわけにはいかないからだ。
もっとも何でベータアミロイドが蓄積するかは分かっていないが、とにかくベータアミロイドが蓄積しないようにしようという方向で進められているアルツハイマー病の治療薬の研究。わたしが超高齢者になる前に、なんとか治療薬が開発されるといいのだが。