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ガラス張りのハウスで野菜を温室栽培2005/12/06 16:20

あたりまえといえばあたりまえだが、野菜を温室栽培するにはビニールハウスよりもガラスの方がいいにきまっている。とはいえビニールハウスがよく使われているのは、設置コストが安いからに違いない。

ところが原油高騰の折り、ビニールハウスの方が一概に安いとはいえなくなってきたようだ。

日本板硝子、カゴメ、鹿島建設が共同でガラスを使ったトマト栽培用大型温室の開発に着手したという。6日に出されたリリースはここ

ガラスといっても表面に金属膜をコーティングして熱放射を抑えて断熱性を高めた放射ガラス(LOW-Eガラス)をベースとしたガラスを活用するとしている。可視光線の透過率を維持しつつ、最大で約35%の省エネ効果がえられるという。

リリースは設置コストは言及していないが、ハウスの設置コストが多少、アップしても温室を暖める燃料の消費を抑えることで、高騰している燃料をビニールハウスでガンガン消費してランニングコストがアップするよりもメリットがあるようだ。

原油高騰によって地球環境にやさしい技術が普及するのはまた、なんとも皮肉なものだが、喜ぶべきことなのだろう。

SPFレコードでなりすましメールを防止2005/12/06 16:59

携帯で送られてくるメールで送信元のアドレスを偽って送信してきたものを受信したことはない(と思っている?)が、キャリアの側がどう対応するか6日にアナウンスされた。NTTドコモは送信ドメイン認証を7日から開始。KDDI、沖縄セルラーは2006年度中に送信ドメイン認証を利用したメールフィルターを導入するという。

リリースはNTTドコモがここ。KDDI、沖縄セルラーがここ

ドメインを偽称した「なりすましメール」を見破るのに活用するのが「SPFレコード」と呼ばれる情報。正しいメールであればDNSサーバーにSPFレコードが残っていることから、メールを受信した際にメールが送信元ですよとしているDNSサーバーに問い合わせることで送信元を偽っているのか否かを見破ることができるという。

迷惑メールを送りつけられて不愉快な思いをすることがなくなるし、フィッシングメールにひっかかって大事な情報が盗み取られる恐れもなくなりそうだ。

サーバーにSPFレコードを記述するのが一般的ではないらしく、SPFレコードを普及させることも大事らしい。

とはいえKDDI、沖縄セルラーのリリースはSPFレコードについて迷惑メール対策として効果が期待されていますとしている。これが、どうも100%安全ではなさそうで心もとないが、気の回しすぎなのだろうか。気にかかる。

生体内の分子の挙動を可視化する分子イメージングの研究が進んでいる2005/12/06 18:10

分子イメージングの研究が進んでいる。

生体内のさまざまな化学物質が体のどこの部分の細胞に取り込まれ、さらにはその細胞のどんな場所で作用しているのかという情報を手にすることができるようになってきた。

いままでは細胞内の「化学物質=分子」の挙動を知るすべがなかったが、技術革新によって可能になってきた。

生体内の分子の可視化。分子イメージングという言葉でホットな研究テーマになっている。

分子イメージングの最たるものはPETだろう。

ポジトロン(陽電子)を放出する化学物質(ラジオアイソトープ=放射性同位元素)を投与した際、陽電子が生体内の電子と結合して出てくるγ線をキャッチすることで、生体内のどの部分にラジオアイソトープが集まっているかを調べることができる。

いわばラジオアイソトープは生体内のことを調べる「探針=プローブ」としての働きを持っていることから分子プローブと呼ばれたりする。

分子プローブをさまざまに工夫することでさまざまなことが分かる。例えば、がん細胞。細胞分裂を際限なく繰り替えるがん細胞は、エネルギーを多量に消費するため糖分をたくさん必要とする。そこでブドウ糖の一部の元素をラジオアイソトープで置き換えた物質を生体内に注射してPET装置でガンマ線の分布を見てみると........。

膀胱などブドウ糖がもともと集まりやすい場所もあるので一概には言えないが、局所的にガンマ線がいっぱい出てくるような場所があれば、がんを疑うことになる。

保険は利かないがPET装置を持つ民間の検査機関などで20万円ほどで、がん検診サービスを受けることができるようになっている。もちろん検査で被ばくするのでリスクももあるので注意する必要があるが、分子イメージングのメリットのひとつでもある。

11月には放射線医学総合研究所に分子イメージング研究センターが発足。HP(ここ)も装い新たに充実しつつある。

ここでは腫瘍イメージングにとどまらず、脳機能の研究の手段としいてPET装置を活用している。

PET装置以外の分子イメージングのツールを開発する研究も進んでいる。

ルシフェラーゼという酵素を作り出す遺伝子を細胞に組み込むことで、ルシフェラーゼがルシフェリンという物質を酸化する際の化学エネルギーが光となって放出され現象を活用する方法だ。ホタルの発光原理と同じことから研究が続けられているが、光が極めて弱いことから実用化は容易ではなかった。

光をCCDカメラなどで撮影してもうまくいかなかったりするが、オリンパスは光をキャッチする光学系を工夫することで短時間で画像を撮影することに成功。細胞を長い間生かし続けて発光の具合がどう変化していくかを観察することができるようになったという。

リリース(ここ)には、細胞の発光観察例としてテトラサイクリンという薬剤によって発光する遺伝子の働きが誘導され、細胞が発光してくる様子を時間を追って観察した画像が掲載されている。

薬剤を工夫することで、PET装置による分子イメージングのように、細胞のさまざまな機能を調べられるようになるという。

ヒトの遺伝子の配列が解読されたものの、生命がどのように誕生して発達していくのかという謎は残されたままになっている。分子イメージングの技術が進歩することによって、こうした謎が解明されると期待することにしよう。