ガシャガシャ ― 2005/09/09 09:22
いっぱい鳴いていた。
夜、8時を回ってすでにあたりはまっくら。
「ガシャガシャ」
そこらじゅうから聞こえていた。
勤務先の草むらを調査するために8日、いらっしゃった方といっしょにクツワムシの生息状況を確認してみた。林の陽のあたる下草の生えている部分をクツワムシは好むらしい。
馬具の「轡」の音に似ているから名前がつけられたということがだ、クツワの音とはちょっと想像はつかない。
そっと近づいて鳴いていることころを観察したが面白い。葉っぱの上で羽をこすって鳴いている。懐中電灯の光で鳴き止んだが、逃げようともしない。足音や草を掻き分ける振動で人を察知してもじっとしている。
でっぷりとした体型をみただけでも非常に活動度の低い虫だということが分かる。
各地でレッドデータブックのリストに載せられているとのことがだ、開発に伴って草が刈られても、イナゴのように飛翔することができないので、生息地を奪われて死に絶えてしまうのだと考えさせられた。
緑色と茶色の2種類あるが、小道を隔てただけで生息している種類が違っている。きっと遺伝子レベルで調べたら、同じような遺伝子情報を持ったタイプの生息領域が限定されているに違いない。
その土地特有の遺伝情報を持ったクツワムシがいるはずだが、ローカルといえでも、その絶滅によって貴重な遺伝情報が失われてしまっているに違いない。