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北京原人の化石の行方はどこに2005/12/01 11:48

amazonで購入した古本の「五十万年の死角」(講談社文庫)をあっと言う間に読み終わった。小気味いい筆も緊張感を高めるのに効果を発揮している。

江戸川乱歩賞を受賞しただけのことはある。

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第二次世界大戦中に行方知れずとな北京原人の化石の行方を追うサスペンス。北京原人の化石の行方については、日本軍が持ち帰ったのだの、輸送中に船もろとも海の藻屑にあったのだの、さまざまなことが言われているが、いまだに分かっていない。

本文中では北京原人の化石は四十二体とある。中国国家観光局の中国における世界遺産のページ(ここ)には、
在までに発見されたのは、原人のほぼ完全な頭蓋骨6、頭蓋骨の破片12、下顎骨15、歯157、大腿骨の断片7、脛骨1、上腕骨3、鎖骨1、月状骨1。これら北京原人の化石は、約40体もの老若男女に分類されたとある。
顎を前に突き出した頭蓋骨のレプリカの写真の印象が強いあまり、「北京原人=頭蓋骨」という変なイメージが刷り込まれてしまっていたせいなのかもしれない。

現存する頭蓋骨は1つ。これまでに発見された頭蓋骨6個のうち1937年以前に見つかった5個は「五十万年の死角」にあるように1941年12月8日の日米開戦のどさくさにまぎれて行方が分からなくなっている。

先ほどの中国における世界遺産のページによると、
1966年に周口店遺跡で発掘作業が行われた際に見つかった頭蓋骨破片2個と1934年、1936年に発見された2個の頭蓋骨破片とを組み合わせることでほぼ完全な頭蓋骨が完成。これが中国に現存する唯一の北京原人の頭蓋骨となっている。

「五十万年の死角」の主人公、戸田駿のように、しばらくは北京原人の謎を追ってみようかと思う。「北京原人失踪」(クレア・タシジアン著松本清張訳)、「北京原人」(松崎寿和著)を探すことにしよう。

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